膵・消化管NETの分類

膵・消化管NETは、さまざまな観点から分類され、治療方針を決めるうえで考慮されます。

① 腫瘍の発生部位による分類

腫瘍ができる部位により、NETの性質や現れる症状が異なります。 2010年の膵・消化管NETにおける発生部位別の患者数とその割合は下表の通りです。

② 悪性度の違いによる分類(WHO分類)

細胞増殖に関連するKi-67指数や核分裂像の比率を用いた分類です(下表参照)。

Ki-67指数とは
Ki-67指数は、増殖している腫瘍細胞の割合のことです。患者さんの体から採取した組織や細胞を染色して顕微鏡で観察して調べます。この数字が大きいほど増殖スピードが速いことを意味します。
核分裂像数とは
核分裂を起こしている腫瘍細胞の数の比率を顕微鏡で調べた値です。腫瘍細胞は増殖時に核分裂を起こすため、数字が大きいほど、増殖スピードが速いことを意味します。

WHO: World Health Organization(世界保健機関)

腫瘍の発生部位による分類、悪性度の違いによる分類

③ 進行度(ステージ)の違いによる分類(TNM分類)

腫瘍の進行をあらわすものにTNM分類があり、以下の3つの要素から進行度を調査し分類します。

T:腫瘍の大きさ
N:リンパ節への転移の有無や程度
M:他の臓器への転移の有無

膵NETのTNM分類にはENETSとUICC/AJCCがあります(下表参照)。
消化管NET(盲腸、小腸、胃、大腸)においても同様のTNM分類があります6)

TNM

ENETS: European Neuroendocrine Tumor Society(欧州神経内分泌腫瘍学会)
UICC: Union for International Cancer Control(国際対がん連合)
AJCC: American Joint Committee on Cancer(対がん米国合同委員会)

6) TNM Classification of Malignant Tumours SEVETH EDITION

ENETSおよびUICC/AJCCの膵NETに対するTNM分類

④ ホルモンによる影響の有無による分類

神経内分泌細胞はホルモンを分泌します(「神経内分泌細胞とは」参照)。神経内分泌細胞が体に通常以上の影響あるホルモンを分泌するNETを「機能性NET」、分泌しないNETを「非機能性NET」といいます。

機能性NET
腫瘍細胞から分泌されるホルモンの違いにより、さまざまな種類があります。体にホルモン症状が出現するため早期に発見されやすいのが特徴です(下表参照)。
非機能性NET
ホルモンによる異常な症状が現れないため、ある程度腫瘍が大きくなってから、健診や画像診断で偶然発見されることがほとんどです。発見時に肝臓などに転移していることもあります。
機能性NETの種類

⑤ 遺伝子変異の有無による分類

膵・消化管NETの中には、遺伝子の変異に伴って発生するものがあります。変異する遺伝子の種類により、NETを生じうる遺伝性の病気には、さまざまなものがあります。

多発性内分泌腫瘍症1型
(Multiple Endocrine Neoplasia type 1: MEN-1
フォンヒッペル・リンドウ病
(von Hippel-Lindau disease: VHL
神経線維腫症1型
(type 1 neurofibromatosis: NF1
結節性硬化症
(tuberous sclerosis complex: TSC
膵・消化管NETを生じうる遺伝子変異による病気とその特徴